写真投票から見えた標識の役割

鎌倉バリアフリー研究会が主催し鎌倉市が後援した第18回鎌倉バリアフリーシンポジウムは2022年12月24日から2023年3月31日まで3ヶ月間にわたりインターネット上で開催しました。

日ごろから鎌倉市の皆さんが官民が相互に不断に努力をしてきた「案内標識」をテーマに好事例30点の写真展を中心に、昨年12月中旬の感染状況を鑑みて、オンライン開催としました。(今では5類となったコロナ感染症ですが、いまだに感染拡大の波は終息とは言えない状況であります)

オンライン写真展では、展示した中から良いと思う写真4点を投票していただき、写真展の終了後集計して写真毎の投票数と上位3位をご報告します。

投票の多かった上位3写真

[銭洗弁天方向5] 行き過ぎ表紙看板(新佐助トンネル)

(図1)銭洗弁天への案内標識
(12票最高得票)新佐助トンネル

[大仏方向9] 行き過ぎ案内長谷トンネル

(図2)大仏への案内標識
(8票次点得票)長谷トンネル

[大仏方向1] 長谷交差点南側案内標識

(図3)長谷交差点の案内標識
(8票次点得票)長谷交差点南側

写真投票は総数69票で必ずしも多い投票数とは言えません。それでもいくつかの特徴的な傾向が見られました。

熟知してない観光地に行くにあたって、インターネットやナビ機能を利用していますが、特に曲がり角などで行き過ぎたり、曲がり間違えたりのミスが発生し、目的地に到達できなかったり、かなり時間がかかったりすることが発生します。そのような時、今でも標識が頼りとなります。

今回の投票をみると、そのような”迷い行動”や”間違い行動”を起こしそうになるとき、あるいは起こしてしまったときに、その回復行動に評価が集まっているとみてとれます。

間違いを根絶することは至難のことです。間違ったときにどう修正するかが、旅行にも人生にも最も大事なことであろうかと思います。

そのような「修正力」に、標識が力を発揮します。

ところで国交省の「観光に関する案内標識の現状と課題」によれば、案内標識とは、次のような情報提供の手法により案内を行う標識を案内標識と呼ぶと規定し、指示(特定の地点に誘導するための情報を提供する手法で施設の方向距離を示す標識)、同定(当該地点の地名や観光施設の名称・内容等の情報を提供する手法で地名標識 施設の名称・解説)、図解( 現在位置や周辺の施設等の情報を提供する手法で広域案内地図 駅の構内図)の3つに分けています。(「観光に関する案内標識の現状と課題」は国土交通省のPDFで参照できます。)

その区分て今回の投票を表にし、グラフ化しました。

このグラフから見ると、図解の標識への評価が高いことわかります。やはり、一目で見て取れる理解しやすさが評価されると考えられます。

最後に案内標識の調査をして驚いたことがあります。なぜか若宮大路には、鶴岡八幡宮とJR鎌倉駅を示す案内標識がありませんでした。観光客の中には鶴岡八幡宮から鎌倉駅へ向かう場合どうすればよいか、戸惑っていた方も見受けられました。これはどのような背景があるのか、研究会内で継続して調べて参ります。

2023年の鎌倉バリアフリーシンポジウムは、新型コロナウィルスをはじめとした感染症の動向を踏まえながら、対面での開催で検討しています。ホームページでは詳細について情報をお知らせしてまいりますので、よろしくお願いします。