鎌倉の、いつも見ている風景のなかに隠れている
段差解消への努力が評価されている

鎌倉バリアフリー研究会主催、鎌倉市後援で2021年12月25日から3ヶ月間にわたり、第17回鎌倉バリアフリーシンポジウムを行いました。鎌倉市民不断の努力成果を「段差解消」をテーマに好事例30点の写真展です。コロナ感染防止を配慮し昨年に引き続きオンライン写真展でした。

前回同様、この中からあなたが良いと思う写真6点を投票して頂き、会終了後集計して写真毎の投票数と上位3位をここにご報告します。写真投票は総数191票で、過半数が駅前通りと寺社山門に集中しました(図1)。

写真投票結果

1位は昨年も掲示した江ノ電長谷駅の横断しやすい踏切でした(図2)。水平完備の踏切で車いすが安心して渡れる横断危険性を改善した事例が一番高く評価されました。


2位は鎌倉宮の拝殿参拝用スロープ迂回路でした(図3)。誰でも参拝できるように石段(図3の○)とは別に車いす用にもう一つ選択ができるようにした事例が評価されました。

3位はJR鎌倉駅西口の段差解消と点字ブロック設置(図4)が、4位は鶴岡八幡宮正面入口の段差解消が、5位は円覚寺入口の段差解消が、6位は小町通の電柱なき平坦な通路が評価されました。

我が国では、鎌倉宮のように昔から参拝客が絶えない地域に密着した寺院は氏子・檀家に階段で参拝できない人がおりその人達を配慮することが当たり前であったし、現在も古刹であることよりそのような配慮が優先される事例が法隆寺山門(図5)や成田山新勝寺(図6)などにも多くみられます。

また掲載したすべての写真に万遍なく投票がありました。ここから注目できることは投票がひろく分かれていて、車いす利用者などが実際に困難に直面する段差や凹凸などの解消への努力に関心が集まっていることです。

つまり、写真展に参加して投票された方々は住宅地などいつも見ている風景のなかに隠れている段差解消への努力を評価しているのだろうと思います。それは有名な寺社仏閣であっても、またそうではないありふれた街場の取り組みであっても平らな通路は一般人が既に共有した重要な生活の知恵なのだと思います。

鎌倉バリアフリー研究会は、これからも街場のありふれた取り組みを大事にしながら、観光地としても生活の場としても行き来しやすい鎌倉の街づくりに皆さんと力を合わせて励んで行きます。これからもよろしくご協力をお願いします。

第18回鎌倉バリアフリーシンポジウムは、今回の「段差解消」に引き続き、当研究会の3大テーマ:(1)段差解消、(2)案内標識、(3)公共トイレの2つ目である「案内標識」を議論します。皆さんからご提言・こんな面白い事例があるよという情報提供、或いは改善して欲しい事例を示して頂ければ幸いです。

尚、第17回シンポジウム写真展で小町通りを紹介した写真は2004年7月時点の撮影ですが、18年後の現在、すでにより良い改善がなされている旨のご指摘を参加者から受けました。写真展ではマンホールなど路面の構造物が段差なく整備されている良好事例として示したのですが、ご指摘は電柱の地下化でさらなる改善がなされた日進月歩の好事例かと思います。投票行動に影響を及ぼす観点から、今回のご報告では、期間中の写真差し替えは控えることといたしました。貴重なご意見を賜りありがとうございました。